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数学と言葉と言葉にされざるもの

哲学 機械学習 人工知能 数学 文学

ここに世界があります。僕たちはまず、数学、物理、化学のような自然科学によって世界を記述しようとします。しかし、それだけでは記述しきれない「余剰」が残るでしょう。今度はこれを言語学、歴史、心理学、文学のような人文科学によって記述しようとします。しかし、それでもまだ世界を記述しきれないはずです。その最後の余剰を言葉にされざるものと呼びます。

つまり世界を「数学」、「言葉」、「言葉にされざるもの」に分解できるということです。ここで数学は自然科学のことを指していると思ってください。同様に言葉もふだん使う言葉という意味よりはもう少し広く使っています。でもあまり深く考えなくてOKです。今回はこれら3つの世界記述をどのように用いるべきかというお話をします。

まず、「数学」について。僕はあらゆる判断において「数学」を重視するべきだと思います。例えばある選択肢AとBがあれば、それらの期待値E(A)とE(B)を計算して、判断の最も重要なひとつの基準とするべきだと思います。なぜかと言うと、この考え方が最も論理的だからです。論理的であるとは、あるいは客観的であるということです。「数学」による判断は、客観的な判断をすることに他ならず、客観的な判断は言うまでもなく重要です。しかし、数学が苦手という人もいると思います。現代ではともかく、将来的には実はこれは心配しなくて良くなるかもしれません。例えば先ほどのAとBの選択問題であれば、これは人工知能を使って期待値計算してもらえばいいのです。人間よりはるかにうまく処理してくれます。

しかし、「数学」では記述しきれない余剰がありました。その余剰を「言葉」によって記述してみましょう。僕はここで「数学」+「言葉」=「知性」だと思っています。先ほどのAとBの選択問題でいえば、数値化はできないけれど、言葉によってAとBのメリット、デメリット、etcを説明できる場合があります。そしてその言葉による説明もまた、AとBの選択基準にするべきでしょう。言葉に関しては、人工知能ではあまりうまく扱えません。人間固有のものだと考えて差し支えないと思います。

最後に、それでもまだ記述しきれない「言葉にされざるもの」があります。これは僕は「感性」のことだと思っています。これもAとBの選択の際に、ひとつの重要な基準として役に立ちます。そしてこれもまた今のところ人間固有のものですね。

よって、あらゆるAとBの選択問題は以上の数学、言葉、言葉にされざるものの3つの判断基準を用いるべきだと思います。

さらに話を進めましょう。実はあらゆる人生における判断の問題は、AとBという選択肢を生み出すという創造的な問題と、今話した通りAとBから選択する選択問題に帰着させることができます。

なので、最後に前者の創造的な問題についても考えてみましょう。これも数学と言葉と言葉にされざるものの3つに頼るべきです。まず、言葉にされざるものとはインスピレーションです。このインスピレーションをもとに、具体的な選択肢の要素を言葉によって具現化します。最後にこの要素を論理的に組み合わせることによって、選択肢が生まれます。これを創造のメカニズムと考えておいても良いでしょう。

すごく簡単にシンプルに言いましたが、これは本当はとても奥の深い話です。しかし、実用的なレベルで言えばこのくらいの話で十分だと思います。僕として最後に(僭越ながら)アドバイスがあるとすれば、以上の3つの能力すべてを向上させるように努力した方が人生うまくいくだろう、ということです(例えば理系の人は言葉と言葉にならざるものも意識した方がいいと思います)。また、哲学的に言えば数学は構造主義に、言葉あたりはポスト構造主義に相当するのではないかと思っています。ともかく、3つの能力をバランス良く育てるという意識を持っていて損はない、という結論だけは出しておきます。

 

追記:一番大事なことを書き忘れていました。

重要なのは、できる限り「数学」と「言葉」によって記述し、「言葉にされざるもの」を感じることです。

例えば絵画の美しさは数学では語れない、と諦めるのではなくて、アンケートをとって人気度を測るとか、数学の世界に落とし込む方法はたくさんあります。これをしっかりやることが「数学」によって考えることです。

同様に、言葉にされざるものもできる限り言葉によって表現するべきです。最初から諦めてしまったら何も始まりません。原理的に不可能と分かっていても、ある程度は可能だったりします。そのある程度をちょっとずつ大きくすることが重要なのだと思います。

それでも手に負えない部分は、感性によって捉えましょう。

すべての視点に立って、そこから本当の本当の意味で最大限のことを得るべきだ、ということが言いたかったです。