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AIと言語

本当はこれから考えを深めていかなくてはならないアイデアで、これから改良していこうという段階なのですが、面白そうなので書きます。 まず、できるだけ話をクリアにしたいので定義をします。AIはここではreinforcement learning agentとします。つまりAIと…

不完全なAI

AIに関する議論はとてもconfusingな気がします。例えばどのタイムスケール(10年後なのか30年後なのか100年後なのか)で話しているかによって見方がまるっきり変わってくるし、強いAI(人間のように思考できるレベルのAI)と弱いAI(現在のレベルのAIの拡張…

OpenAIと今後の強化学習

OpenAIがUniverseという強化学習のプラットフォームをリリースして話題になっているみたいです。 universe.openai.com そもそもOpenAIとは何かというと、イーロンマスク、ピーターティールといった名だたるメンバーが後援しており、さらにMicrosoftとも提携…

Doube-DQN with prioritized experience replay

Deep Q-Network(通称DQN)を試しに使ってみました。 ちょっとだけ説明すると、前回説明した強化学習では状態数が大きい場合、現実的な時間内で実行できないので、近似的な手法が必要になります。 そこでDeep Learningを使ってvalue functionを推定しようとい…

教養のための強化学習

強化学習は機械学習の一分野である、というと一般の人は敬遠しそうな気がしますが、このように考えてみてください。機械学習というのは“汎化”の理論です。つまり観測したデータから有用で一般的な法則を発見しよう、というだけの話なのです。そして強化学習…

対話について

対話というのは一見簡単そうに見えますが、よーく考えてみるとかなり難しい話がボロボロ出てきます。ということで今回はその難しさ(とできれば面白さ)を見ていきたいと思います。 そもそも対話とは何なのか?僕の専門分野では「自然言語でコミュニケーショ…

Transduction

人間の思考はざっくりと分けて演繹的(deductive)思考と、帰納的(inductive)思考がある、というのは古くから言われてきたことで、僕もこのブログで両方についてちょっとずつ触れてきたつもりです。例えば論理的思考みたいのは明らかに演繹的なもので、機械…

ラカン入門 その3

以前の記事まとめ: ラカン入門 その1 - Expliquer ラカン入門 その2 - Expliquer 欲望について考えてみよう。欲望は欲求とは異なり、言葉を扱う人間固有のものである。赤ん坊にはまだ欲望は存在せず、生体的な欲求しか存在しない。赤ん坊は欲求が高まった…

子供の涙

今回の話の根底にあるのは、価値に関する話です。価値観というのは僕たちにとって一番重要な判断基準です。合理的に考えるならば、僕たちは基本的により価値があると思うことから優先的に行動するべきでしょう。しかし世における常識的な価値観は多くの場合…

My Favorite Things

-「The Catcher in the Rye」 by J.D. Salinger 高校生の頃に10回くらい読んだ、まさにアンチヒロイズムという言葉がぴったりな青春小説。世の中高生はぜひともこれを手にとって、社会の矛盾について考えてみて、弁証法的に考えを深めていってほしいです。 -…

人はロボットを愛することができるか

いくぶん幼稚な問題設定と思われるかもしれませんが、これは考えてみると重大な問題であることがわかります。なぜなら人が当たり前のように、何の抵抗もなくロボットを愛し、例えばロボットと結婚するようなことさえふつうの出来事になるのだとすれば、これ…

悪口とユーモア

全てのユーモアが悪口と関連があるというつもりはありませんが、現代の多くのコメディアンは、日米を問わず、悪口と密接な関わりを持つことは指摘できると思います。日本で言えば代表的な芸人は有吉ですが、他の芸人も悪口や「いじり」によって笑いを取るこ…

自己批判

ヘイトスピーチってありますよね。ヘイトスピーチのイメージが悪いのは、たぶん内容が薄かったり的外れだったり揚げ足取りだったりするからじゃないかと僕は思います。でも、ヘイトスピーチ自体は僕は大事なものじゃないかと思うのです。そういう悪い見方を…

おもちゃの蛇

www.youtube.com この動画は本当にしょうもないはた迷惑な行為ですが、ちょっと興味深い部分があります。ここで蛇のおもちゃを見た人は、反射的にそれから逃げようとします。そうすると蛇のおもちゃはその人と糸でつながっているので、逃げようとすることに…

批判における落とし穴

「批判するのはよくない」と言う人がいます。個人的には批判は良いところも悪いところもあると思うのですが、この発言の正否以上に僕が気になるのは、この発言自体が批判になってしまっているという点です。なぜなら「批判はよくない」というのは批判に対す…

孤独について

僕は基本的に「どこか静かなところで一人で暮らしたい」と思うのですが、これはかなり誤解を生みやすい言葉なので、一度はっきりと説明しておいた方がいい気がします。まず、当たり前ですが「静かなところ」というのは自分の声も聞こえないような無音室で生…

Expliquer

「説明する」とは「視る」ことである。「AをBによって説明する」とは「AをBという様式に従って視る」ということであり、例えばA=恋愛、B=物語とすれば、これは恋愛小説になる。 「視る」というのは単純だが、強力なアナロジーである。例えば数学について考え…

(芸術、思想における)自由について

前回のアートについての記事が構造主義的(理論とかルールとか)であまりうまく説明しきれなかったので、もっとポスト構造主義的(というか構造主義の批判的)な考え方もしてみようと思います。 まず、自由とは何でしょうか?僕は「ルールに対して抵抗が生じ…

アートについて

よく親は子供にこんな矛盾したことを言います。「悪い友達と付き合わないこと。勉強をちゃんとすること。ルールをちゃんと守りなさい。でも、ルールを守ってばかりじゃダメだから、たまにはハメを外しなさい。」言いたいことはなんとなく分かりますよね。で…

数学と言葉と言葉にされざるもの

ここに世界があります。僕たちはまず、数学、物理、化学のような自然科学によって世界を記述しようとします。しかし、それだけでは記述しきれない「余剰」が残るでしょう。今度はこれを言語学、歴史、心理学、文学のような人文科学によって記述しようとしま…

記憶のメタファー

見たことのない木がある。いや、しかしどこかで見たような気もする。記憶というものが形成され始めたその原始時代に、砂漠の上に存在していたあの一本の枯れ木だ。その外皮は無数の皺に覆われている(その皺を刻み込んだのはゴッホだろうか)。その形状は肉…

A=Bはメタファーである

ⅰ)言語行為論というものがあります。例えば僕が「僕はあなたと結婚している」と言ったなら、結婚が成立しているならそれはただの報告であり、結婚が成立していないならば嘘になります。一方で、もしも僕が「僕はあなたを僕の妻にする」と言ったならば、まさ…

A=Aはトートロジーか?

=という概念はアプリオリです。なぜなら、もしもある人が=の意味を知らなかったとして、僕たちは=が成立するものを何ひとつとして彼に示すことができないからです。「ほら、これとこれは同じでしょう」と僕たちが言う時、その人はいつだって違いの存在を…

道徳について

あまり個人的すぎる話はしたくないので、これは「ニーチェと僕の道徳」だと思って読んでみてください。この道徳は、まず真理を追究することが善である、というところから出発します。しかし、世の中に絶対的な真理というのが存在するとは限りません。むしろ…

確率について

今回は確率理論の根底に実は論理学がある、というお話をしたいと思います。 確率というのは今や機械学習に始まり、自然科学のみならず人文科学まで様々に応用されている重要な数学の概念です。しかし、そもそも確率とは一体何なのでしょうか?これは結構な難…

水を平等に分ける方法

ここにAとBの二人がいて、目の前に水が入ったコップが二つ並んでいます。ここでAとBが両方とも「納得」できるような水の飲み方はあるでしょうか?これは次のような方法が考えられます。まず、Aは二つのコップの水の量が「均等」になるように水を調整します。…

言葉と無意識

今回の記事の目的は、「無意識は言語(=ランガージュ)のように構造化されている」というラカンの命題をきっちり説明することです。丸山圭三郎さんの「言葉と無意識」という本を大いに参考にしています。 さて、まずは下準備をしましょう。最初に、以前の記…

価値について

例えば2種類の猫AとBが存在して、Aは世の中に腐るほど生息していて、もう一方のBは世界に数匹しかいないとなると、後者のBの猫には「希少価値」がつきます。これは考えてみると面白い話です。つまりその猫の性質、例えば美しいとか実用的とか、そういった本…

明るい部屋

誰でも現代人なら写真を撮ったことも、撮られたこともあるはずです。また、他の人が撮った写真を見たこともあるはずです。このように、僕たちはかなり身近に、バルトの言葉を使えば「撮影者」、「幻像」(簡単に言えば被写体)、または「観客」として写真と…

猿とバナナと多様性

以前「自己目的」を意識することが大事だと書きました。 それ自体は間違っていないと思いますが、この考え方にもちょっとした落とし穴があることに気がつきました。 これを下の超単純な図を使って説明してみましょう。 猿は僕たちで、バナナは自己目的です。…

脱構築

脱構築とは「2項対立崩し」のことです。ここで言う2項対立とは、特に言語において、2つの対立する言葉で表されるもののことで、例えば「自然」と「人工」、「本質」と「表層」、「自由」と「制約」などのことです。今回はいくつか具体例を挙げながら簡単…

論理的思考と創造的思考

人間の思考がはっきり2種類に分類できるという話ではありませんが、だいたい論理的思考と創造的思考の2種類の考え方が人間にはできるのではないかという話です。論理的思考は特に数学などにおいて重要で、創造的思考は小説や詩を作る際に重要です。しかし…

論理と詩

まず、アプリオリについておさらいします。アプリオリというのは、先天的であるという意味です。経験によって身につけるものが後天的だとすれば、経験する以前、そもそも経験自体を可能にするものが先天的でアプリオリなものです。例えば、僕たちは空間と時…

人間的思考と機械学習 2

機械学習とは、教師ありであれ教師なしであれ、統計学の理論であり、確率の理論です。例えば猫の画像を分類しようと思った時、コンピュータはそれが猫である確率を計算することによって分類を行います。その確率を計算する際には、計算のもととなるデータが…

読書について ショーペンハウアー

「本から読みとった他人の考えは、人様の食べ残し、見知らぬ客人の脱ぎ捨てた古着のようなものだ。」 これはもちろん極論ですが、僕も昔から比較的本を読み、読書会なども開催している身としては、この格言には考えさせられるものがあります。読書は必ずしも…

愛と実践

今回の記事の目的は、愛の理論について、「自己目的性」、「他者の目を脱する」、「愛と実践」という3つの側面から分析してみることです。できれば下の記事を読んでおいていただけると理解しやすいと思います。 futsaludy.hatenablog.com まず、自己目的性…

論理学における知識

これは僕が大学で勉強してきたことの簡単な復習も兼ねて書くことにしました。論理学において、知識というのはかなりはっきりと定義することができます。そのためにはまず「可能世界」についての説明が必要です。 例えば、ここに3枚のカードがあり、0が2枚と…

隠喩について

今回は隠喩について説明する。隠喩とは、「元始、女性は太陽であった」という平塚らいてうの発言に見てとれる。この文章を超ナイーブに読んでみると、「いや、どう見ても女性は太陽じゃないでしょう。もし太陽であるならば夫はとうに燃え尽きているはずだ」…

ラカン入門 その2

今回は言語構造の話である。先に前々回の記事を参照しておくことをおすすめする。 futsaludy.hatenablog.com まず、ラカンによると「シニフィアンとシニフィエとは独立して存在する」ものである。これは(厳密ではないが)シニフィアンを0と1だけを使って…

ラカン入門 その1

今回はラカンの重要な概念の説明をしておく。 想像界 これは一言で言えばイメージの世界である。ここでは、僕たちは統一された自我というのは持っておらず、バラバラのイメージしか持っていないと考える。例えば人間は鏡に映った自分のイメージを見て、この…

言語学入門(とちょっと自然言語処理)

僕たち人間は言葉を使うことによってものごとを考えることができます。「彼はかっこいいから、きっとモテるんだろうな」と考える時も、「彼」とか「かっこいい」のような言葉を組み合わせることによって思考してるのだと考えることができます。つまり言語と…

感覚的な愛

前回の話は、理性的な愛に関するものでした。しかし、愛というのは感情です。考えるものではなく感じるものです。今回はこの感情としての愛を考えます。 先に断っておくと、理性的な愛というのは感覚的な愛の一種だと思います。なぜなら、僕たちが自由を愛す…

Love&Peace:)

誤解も批判も恐れずに言うと、僕は「人間の究極の目的は愛であり、幸福とは正しいものを愛することである」と考えます。自分にもう少し文才があったなら、詩にでもしていたかもしれません。間違ったことを言っているつもりはありませんが、主観的であり、理…

蒼白の犯罪者

ニーチェの思想はとても危ないように思う。まず、有名な「神は死んだ」という言葉について解説します。 キリスト教では、身体は汚いものであり、精神を清めることが重要だと言います。これは現代でも少なからず受け継がれている思想のように思います。しかし…

歴史哲学講義 ヘーゲル

歴史とは一体何でしょうか? 事実そのままが歴史でしょうか、それとも人間がそれをどう捉えるかが歴史でしょうか。 ヘーゲルの提示する考えは哲学的な歴史の見方です。 この見方では最も超越的な概念として、理性というものが存在します。理性が世界を支配し…

人間的思考と機械学習

今回は「どうすれば人間に近い思考を行える人工知能を作ることができるか」というテーマについて考えてみたことを書きます。結論から言うと ①人間のアプリオリな認識のモデル化が可能であること ②人間の思考は主に経験からの汎化によって行なわれていること …

相関係数と線形回帰 その2

今回は相関係数が高いほど、線形回帰の当てはまりがよくなるという話をします。 まずはじめに、線形回帰ができると何が嬉しいの?という話をします。 もしもY=aXという関係式を求められたなら、これはXが分かった時にYの値を予測できるようになる、というこ…

相関係数と線形回帰 その1

どうせなら超基本的な話からしようと思うので、確率とか高校以来触ってないよなんて人もご安心ください。数式も極力使っていません。今回の目標は相関係数とは何かを説明することです。 まず、正規分布の話をします。 多分どこかで見覚えがあると思います。…